2026.06.10
中小企業の経営者の皆様にとって、事業承継は避けては通れない重要なテーマです。長年培ってきた事業を次世代へ円滑に引き継ぎ、企業の永続的な発展を実現することは、経営者の皆様の使命と言えるでしょう。しかし、事業承継には多額の相続税や贈与税が伴うケースも少なくありません。この税負担が、事業承継を躊躇する一因となることも事実です。
そこで国が用意しているのが「事業承継税制」です。特に、平成30年度税制改正で創設された「特例措置」は、その活用が中小企業の事業承継を大きく後押しするものとして注目を集めています。しかし、この特例措置には適用期限があり、令和9年12月31日をもってその申請期限が到来します。残された時間は決して長くはありません。
本稿では、この重要な事業承継税制の特例措置について、その概要、後継者や会社の要件、そして期限が迫る中での対策の重要性を、税理士の視点から厳格かつ分かりやすく解説いたします。
事業承継税制の特例措置は、後継者が非上場会社の株式等を相続または贈与によって取得した場合に、その株式等にかかる相続税・贈与税の納税を猶予し、最終的には免除する制度です。通常の事業承継税制と比較して、対象株式の制限がなくなり、納税猶予割合が拡大(相続税・贈与税ともに100%)、雇用確保要件の緩和など、大幅に使い勝手が向上しています。
この制度を活用することで、後継者は多額の税負担に悩まされることなく、事業に専念できる環境を整えることが可能となります。これは、事業の継続性や発展性にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。
この納税猶予を受けるためには、会社、先代経営者、後継者のそれぞれに厳格な要件が定められています。主なものをいくつかご紹介いたします。
これらの要件は非常に細かく、また制度適用後も会社経営に関する報告義務や一定の継続要件を満たす必要があります。安易な判断は将来的なリスクを招く可能性があるため、専門家による詳細な確認が不可欠です。
事業承継税制の特例措置は、申請期限が「令和9年12月31日」と定められています。この期限までに「特例承継計画」を都道府県庁に提出しなければなりません。
この期限を過ぎると、通常の事業承継税制は引き続き適用可能ですが、特例措置の恩恵を受けることはできなくなります。特例措置の適用可否は、将来の事業承継税額に大きく影響するため、期限までの計画的な行動が求められます。
事業承継は、単に株式を移すだけでなく、経営権の移譲、従業員の理解、取引先との関係構築など、多岐にわたる調整が必要です。これには相応の時間を要します。特に、後継者の育成や社内体制の整備など、税制とは異なる準備も並行して進める必要があります。
事業承継税制は、相続税・贈与税の納税を猶予する制度ですが、猶予される税額は株式等の評価額に基づいて決定されます。したがって、事業承継を検討する際には、会社の株価評価を適切に行い、可能な範囲で株価対策を講じることも極めて重要です。
株価が高すぎる場合、たとえ納税が猶予されたとしても、会社の将来的な負担となりかねません。 M&Aなどの選択肢を検討する場合も同様です。適切な株価対策は、円滑な事業承継を実現するための重要な要素の一つと言えるでしょう。当事務所では、貴社の状況に応じた最適な株価対策についても、専門的な知見をもってご支援させていただきます。
事業承継税制の特例措置は、中小企業の経営者にとって、次世代への円滑な事業承継を実現するための強力なツールです。しかし、その適用には厳格な要件と、令和9年12月31日という明確な期限が存在します。残された時間は刻一刻と迫っており、早急な検討と準備が不可欠です。
事業承継は、経営者の皆様にとって人生で一度あるかないかの大きな決断です。後悔のない選択をするためにも、専門的な知識と経験を持つ税理士に相談し、貴社に最適な承継プランを策定されることを強く推奨いたします。当事務所は、事業承継のプロフェッショナルとして、貴社の未来を共に考え、最適な解決策をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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