財務すべてを1枚の図に!「経営チャート」の見方

突然ですが、質問です。

  • あなたの会社は、これからに向けて、具体的にどういう状況でしょうか。
  • ライバル会社がどんな財務体制をとっているのか、気になったことはありませんか。
  • 具体的に何を改善すれば収益があがるのか、お金の流れを把握されていますでしょうか。

これらの質問すべてに、自信をもって答えられる経営者は、どれだけいらっしゃるでしょうか。

当事務所は、そういった不安感の解決のために、

POINT
  • 財務を総合的に見た状態:バランス
  • 過去から未来に向けた流れ:トレンド

この2つがわかる「分析結果」を「経営チャート」としてご提供しています。

知るべきポイント

現状が良いのか、悪いのか。それは真っ先に知るべきことです。ただ「これから」を考えるには、前後を含めた「流れ」を捉えることも必要です。ここ数年間の実績から見た今現在は、過去から未来に向けて、改善の方向にあるのでしょうか。はたまた、悪化の方向にあるのでしょうか。

そういう流れ・方向・勢いを判断するのに、点だけを見ていては何もわかりません。点と点をつなぎ、線として、時系列で見る必要があります。それにはチャートで視覚化するのが一番です。どのように表されるのか、さっそく見ていきましょう。

ここでは比較のため、1つの図に3社分の経営チャートを記しています。

チャートの見方は以下の通りです。

経営チャートの説明

具体的には、貸借対照表・損益計算書(・製造原価報告書)と、従業員数を利用し、すべてのデータから企業の「総合力」を求めます。多変量解析にて最低0ポイント〜最高200ポイントの数字が「企業力総合評価」として導かれますので、それをひとつのチャート上に表します。それぞれポイント範囲に応じて色分けされ、一目瞭然の状態になりますので、直感的に判断することができます。

  • 【青色領域】100ポイント以上・・・健全経営の状態を示します。
  • 【黄色領域】80〜100ポイント・・・要改善領域であり、現状から踏み込んだ戦略が求められます。
  • 【赤色領域】60ポイント以下・・・危険領域であり、さらに落ち込むと破綻が懸念される状態です。

これらは、成長と倒産に関する重要度をウェイト付けし「統合解析した結果」を視覚化したものです。ここで強調したいのは「過去の事実に基づいている」ということです。過去のデータには、「どのような財務状態の企業が倒産に向かうのか」という事実が眠っています。それは確かな過去の事実です。そこで「企業の成長=倒産からの乖離」とみなし、企業の財務データを多変量解析することから、「いかに倒産からかけ離れた状態にあるのか」を判断するのが、当分析の仕組みです。言い換えれば、「倒産」の反対は「成長」である、ということですね。

すべての財務情報を1つに

当分析による経営チャートは「すべての財務情報を1つ」にまとめ上げたものですので、さらに分解することもできます。次の段階として、まずは大きく6つの指標を確認します。

主要な6指標

  1. 営業効率:「儲かるか」を示す営業チャート
  2. 資本効率:「資本利用度」を示す資本チャート
  3. 生産効率:「人材の利用度」を示す生産チャート
  4. 安全性:「長期資金繰り」を示す安全チャート
  5. 流動性:「短期資金繰り」を示す流動チャート
  6. 資産効率:「資産利用度」を示す資産チャート

逆に言えば、これら6つの指標を統合したものが企業力総合評価=経営チャート、ということになります。また6つの指標は、さらに細分化された指標をそれぞれ独自にウェイト付けして算出しています。図にすると以下のようなイメージです。

数値をまとめ上げてチャートに

 


具体的にはどういうものになるのか。ここからは冒頭に上げた3社の分析事例を、それぞれ主要指標まで落とし込んで確認していきましょう。何事も全体を俯瞰することが重要ですので、すべて図の中央の、企業力総合評価を示す「経営チャート」からご確認ください。

1.中小製造業(V字回復)の場合

まず、中小製造業の企業診断結果です。「要注意領域」ではあるものの、ここ数年で順調に大きく改善されてきていることがわかります。

中小製造業V字回復

(クリックで拡大)

さらに、具体的にどういった改善がなされたのかを確認するために、周囲のチャートを見てみましょう。(数字までは読まず、見える範囲まで見ていただければ大丈夫です。)

まず左側、赤色領域から青色領域に抜け出ているのは営業チャートと資本チャートです。全体的に経費が見直され、利益率が上昇した結果です。素晴らしい改善ですね。しかしこれで万事OKではなく、改善に終わりはありません。他に気になるポイントは見つかりますでしょうか。

右側、安全チャートと流動チャートです。安全性は改善されているものの青色領域には達しておらず、また流動性には上昇する様子がありません。これらに関わるものは、固定比率、固定長期適合比率、自己資本比率流動比率当座比率現金預金比率などです。利益率を保ちながらも、貸借対照表、財務体質の改善に取り組むべきであることがわかります。

2.中小卸売業(悪化傾向)の場合

次に、繊維・衣類等卸売業の企業診断結果です。

まず経営チャートは黄色領域にありますが、前述の企業よりも伸びがありません。前々期に大きく下落し、要注意領域に入り込んでいることがわかります。

中小卸売業

(クリックで拡大)

その原因を探るべく全体を見てみますと、左側の営業チャート、資本チャート、生産チャートが明らかに下落しています。これらは共通して「利益率」に関わるもの。また売上高も低迷しておりますので、営業体制の見直し、マーケット状況の再確認を図る必要がありそうです。

一方で流動チャートについては、完全に青色領域。さらに詳細を確認すると、流動比率当座比率ともに「十分に良好な」状態です。

トータルで考えると、経営チャートはターニングポイントである「要注意領域」ですので、ある程度の流動性を損なうとしても、販路開拓や研究開発、設備投資など「攻め」の体制を取るべきタイミングであることがわかります。

このように状況を明確化し、経営幹部、関係者全員と共有することで、迅速な意思決定につながります。

3.優良企業の場合

最後にもうひとつ、経営診断結果を見てみましょう。京セラ(連結)です。

京セラ(1703 連結)

(クリックで拡大)

他の企業と比べるまでもなく、青色領域・健全経営の状態で安定していることが一目瞭然です。まったく問題ないことは確かですが、ここは右下、唯一の赤色指標、資本効率について詳しく分析してみましょう。

この指標は棚卸資産回転期間売上債権回転期間買入債務回転期間総資本回転期間などを統合して算出しています。いずれも売上高が分母にくる指標です。この京セラの分析結果のように、超優良企業でこの指標が赤色領域になるのは、「積極投資→高付加価値商品の販売→高キャッシュフロー→高流動性→積極投資→」という好循環のパターンが確立されている状況を示しています。

「素晴らしいですね」で終わらせるのではなく、ここから学ぶべきことは、全体像を見ず、指標の大小だけで判断することの危険性です。もし上述の回転期間などの数字だけに着目し、教科書的に判断すると、「平均値から離れているので対策しなければ!」などという話になってしまいます。全体を見れば明らかですが、そのような狭い視野での発言は、まったくの無駄です。経営はバランスとトレンドから判断しなければなりません。繰り返し述べてきたように、常に全体を俯瞰的に見ることを心がけるべきでしょう。

 


以上、経営チャートの見方と、3つの分析シートをご確認いただきました。

あなたの会社が、事実としてどういう状況で、要するに何に注力し、改善すればいいのか。それを判断する材料として、事実に基づかないものは、推測でしかありません。また、業界平均値と比較しランク付けするのも、一基準に過ぎません。

時代は大きく変化し、そのスピードも加速しています。そんな不確実な世界で、経営者は厳しい判断を求められます。そこで拠り所とすべきは、「過去の事実に基づいた判断」ではないでしょうか。自社の過去を振り返り、将来に結びつけるのは「経営計画」の役割です。そこに統計学を用いることは、確かな判断材料を得るきっかけとなります。倒産の逆、すなわち「成長」を歩んでいただくためにも、当診断の結果を活用し、改善に向けた計画を策定いただければと思います。

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