戦略的価格セグメンテーションのために

ターゲットのセグメンテーションは、価格戦略上の重要な作業です。そこでは潜在顧客の価格に対する感度、つまり支払ってもよいと思っている金額(Willingness-To-Pay:WTP)を把握しておかなければなりません。その価格帯ははっきりといくつかに分かれるものであり、基準となるのは、当該商品やサービスとの比較対象です。

しかし単一商品を複数のWTPグループに販売するのは容易ではありません。ある顧客層を単価350円で確保できているとき、同じ商品の100円バージョンも売り出すというのは非常に危険です。おそらく顧客は安い方を購入するようになりますので、その販売量が膨大に増えない限り、350円のものを購入していた顧客からの減収分は埋め合わせできません。

商品の独自性が強ければ、高額な金額を支払ってくれるセグメントをメインターゲットにするべきです。競争が激しい場合には市場拡大のための価格設定を考える必要もあるかもしれませんが、競争相手が少なければ、高価格設定には大きなメリットがあります。

以上のことからも、潜在顧客のセグメンテーションは大切ですが、簡単な作業ではありません。既存顧客が本当はWTPを増やしてもよいと思っているかどうかさえもわからないのに、顧客になっていない人たちに仮定の状況についてインタビューしたとしても、正確な答えは期待できないでしょう。

たとえば「この商品にいくら払いますか?」という直接的な質問は高リスクです。相手は、仮定の状況でどんな行動をするか予測しにくいだけでなく、価格を下げてもらおうという思いから、意識的に低い金額を答えるでしょう。ですので、仮に紅茶飲料の場合、具体的に投げかけるべき質問は「1000円あるとします。それで紅茶を買ってきてほしいと頼まれたら、どこにいきますか?」、そして、「そこでいくら払うと思いますか?」という内容となります。

前者は、実際に購入する状況に比較的近い設定で具体的な判断を尋ねており、聞かれた側は、少なくとも実際に商品を購入する場面と同じ心理状態になります。その上で後者の金額を聞くと、正確な回答に近くなり、本当に払うつもりの金額帯から大きく離れることは少なくなるでしょう。

このように、顧客が商品を購入するプロセスや心理状態を、できる限り再現した質問内容を考えることは非常に重要な作業なのです。

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