リアル・オプション的事業計画

近年の経営学研究の蓄積によって、ビジネスのさまざまな局面で、不確実性が高いときには「リアル・オプション」的な投資が有効となり得ることが明らかになっています。代表的なのが、合併事業を「将来の合弁相手の事業買収のためのオプション」として捉える研究です。1991年にこのテーマに関する論文が発表されて以来、多くの研究者が合弁事業にはオプションとしての価値があることを理論的・実証的に示しています。

多くの事業計画においては、段階的な投資が検討されます。そこで、リアル・オプションの視点から、段階投資の事業計画を効果的に進める上での有用な視点があります。

まず大前提として、仮定は仮定であることを決して忘れてはならない、ということです。新規事業は不確実性がとても高く、計画を立てるときにも事業環境の将来の見通しに、何らかの仮定を設定せざるを得ません。ここで現実的に注意するべきは、事業が進むにつれて、それらの仮定がいつの間にか既成事実であったかのようにされてしまうことが多いということです。

そのような事態を避けるために、リアル・オプションの考えを取り込んだ新規事業の計画法が有効となります。たとえば「仮定のチェックリスト」を作り、事業計画においてとりあえず設定された不確実性の高い仮定は、事前にリストとして書き出しておくべきです。さらに、段階的な投資が進展するたびにマイルストーン分析を行い、当初の仮定が正しかったかを検証することも必要です。仮定は仮定ですので、最も重要なのはその仮定が正しかったかを検証し、目標や事業内容を柔軟に見直すということです。

現代における根本的な事業計画の在り方として、不確実性の高い事業環境では(ほとんどの場合がそうですが)、事業計画とは単に計画を練るためのものではありません。それは事前に不確実性を洗い出し、仮定は仮定として常に認識し、それを恒常的にチェックするためのものなのです。

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