売上が伸びると倒産する?〜黒字倒産の仕組み〜

利益は出るがキャッシュがない状態

バブル崩壊後、中小企業の黒字倒産が社会問題化したことがありました。なぜ会計上「黒字」であって利益が出ているのに、企業が倒産するのでしょうか?売上が伸びれば伸びるほど、資金不足を起こすことがあるという実態を、正しく理解されているでしょうか?以下、具体的に数字で確認していきましょう。

ここでは単純な例として、月々売上を倍々で伸ばしている企業を考えてみます。原価率は50%、支払いは1ヶ月後、入金は3ヶ月後、期首の現金残高は5,000,000円とします。これを表にすると以下のようになります。

表では期首残高、期末残高を非表示にしています。月々の残高はどうなるでしょうか?・・・単純な足し算で計算できますね。それではその結果をチャートに表わしてみましょう。

残高チャート

視覚化すると、よくわかりますね。売上は計上(青い階段)されていますが、収入(赤い階段)より支出(オレンジの階段)が先行してしまい、6月には期末現金(紫の線)がマイナスに落ち込んでいます。支払いが滞るということは倒産を意味します。このマイナスを補うためには、銀行から借り入れをするなどして対応するしかありません。それを乗り切ったとしても、この企業は利益が上がっていますので、時間が経てば法人税の支払い義務も発生します。さらに資金繰りは悪化していくことでしょう。

資金繰りに追われることがないように

ここでは大雑把な数字を例として挙げました。そんなことは当然知っている!という経営者の方も多いはずですが、その一方で、売上が上がっているはずなのに、なぜかいつも資金繰りに追われている・・・という企業は、世の中に少なからず存在します。帳簿は専門家に任せているから、と安心してはいないでしょうか?

この例のように、毎月々の数字を冷静に考えることができれば、先手を打つことができるはず。そもそもこうして数字を視覚化して冷静に考えることができていれば、黒字倒産が社会問題化することもなかったはずです。

もちろん、現実はこれほど単純ではありません。以下のような表で少なくとも半年先の数字を読んでおくことが大切です。

月次資金繰り実績表

この例では、9月の「定期預金解約」により資金ショートを免れています。仮にその資金調達がなかったらどうなっていたのか?それぞれの残高状況を比較したチャートで確認してみましょう。

比較チャート

その違いは一目瞭然です。

改善のために〜まずはキャッシュに余裕を

こうして視覚化してみると、やはり一目瞭然です。改善支援の際、一番最初に確認するのが「資金繰り」です。資金に余裕がある企業とない企業とでは、じっくりと腰を据えて改善計画を立てられるのかすぐにリスケにより資金ショートを防がなければならない緊急事態なのか、それにより対応するべき優先順位は、まったく変わってきます。本業に専念するためにも、こういった資金の状況は常に確認しなければなりません。

 

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP