儲かる体質かどうかを見える化する【資本効率】

企業の目的のひとつは、儲け続けること。儲けなければ事業活動は続けられず、理念の追求も、社会貢献もできません。その仕組みをつくるために、資金を効率的に集める形が「株式会社」です。

資本を投入し、儲けを生む。
シンプルに考えれば、これだけです。

もちろん企業の業種業態は様々ですので、投入資本の大小や、そこから儲ける度合いは、それぞれ千差万別です。工場には大量の設備投資(資本投入)が必要となる一方、IT企業では圧倒的に資本が少なく済みます。100万円の利益を生みだすのに、1億円が必要なのか、1000万円が必要なのか。これはどちらが良い/悪いという話ではなく、いかに少ない資本で大きな儲けを生むことができるのかという特性を知ることには、重要な意味がありそうです。

ここまでに書いたように「資本効率」とは、直接的には「資本の利用度」です。ただここで企業における所有と経営の分離を考えれば、その資本の提供者も、営利活動における関係者(ステークホルダー)として考えられます。関係者はもちろん、資本提供による利益が大きくなれば嬉しいはず。したがって資本効率は「株主評価」とも言い換えられます。

さて、資本効率を判断する財務指標は「資本利益率」です。より厳密には、総資本経常利益率、自己資本経常利益率、自己資本当期利益率などがあります。実際の例で考えてみましょう。

以下は日本電産サーボ(2004年〜2008年)の資本効率に関わる数字です。

上述した指標について時系列に見てみると、すべて乱高下しています。結論として、この期間の資本の利用度は良かったのでしょうか、それとも悪かったのでしょうか。・・・2006年と2007年は経常利益で赤字になっていますのであまり良くはなさそうですが、全体としてはわかりませんね「要するにどうなのか」、具体的には「資本が有効的に利用され、きちんと利益をあげているのか」といった問いに対し明確に答えるには、全体性を踏まえた判断基準が必要です。

また2008年には大変な改善が見られます。これは永守重信氏が取締役会長に就任した影響でしょう。ここではその経営手腕について語るのではなく、敢えて数字に特化し、SPLENDID21によりそれぞれ資本効率の指標をウェイト付けし、それらを総合的にチャートとして表わしてみます。

日本電産サーボ2004年〜2008年資本効率

上記が資本効率を示すチャートです。この事例では決算数字から考えてみて、良いのか・悪いのかといったおおよその予測は立てられるかもしれません。しかしこのように「どれだけ悪化していたのか、そして、どれだけ改善したのか」を明確に表現する手段を、人それぞれの決算書を読む力・スキル・感覚に頼っていては、事実を共有し、経営者と経営幹部、そしてマネージャーとの意見・方向性を一致させることはできません

合わせて、企業力総合評価を示す経営チャートも以下に示します。

日本電産サーボ2004年〜2008年経営チャート

資本効率は、営業効率と同様に企業力に大きな影響を及ぼす指標です。それ以外の営業効率、安全性、流動性なども含め、すべてをまとめ上げるのが企業力総合評価ですので、他の経営数字も加味された結果がこちらです。ただ利益というのは総合力へのインパクトが強く、おおよそ似たようなチャート形状になることがわかります。それだけ、利益率というのは重視されるべきポイントなのですね。

今回の事例では、2006年と2007年の状態は「必ず脱する」必要性があったこと、そして実際、的確な経営判断によりそれを実現し、総合力も合わせて大きく改善したことが見てとれます。永守氏の言葉に、

トップの指示や方針を咀嚼して、具体的な指示を出せ

引用:『人を動かす人になれ!』

というものがあります。一流の経営者による改革は、今回の分析のように明確な形状として表れます。その背景にはこの言葉が示すように、現場に改善を落とし込む力が強く働いているであろうことは、想像に難くありません。

 

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