在庫や資産の利用度を見える化する【資産効率】

資産は効率よく使われているのか

商品、在庫、売掛金・・・企業は多くの「資産」を利用して活動します。債権については、その回収期間が資金繰りに大きな影響を及ぼすというのは、ご承知の通りです。

⇛ご参考

ここでは以下、「回転期間」の概念を中心に、「資産は効率よく使われているのか」「資産の利用状況は良くなっているのか」を明確化するための指標、「資産効率」についてご説明していきます。

SPLENDID21の資産効率において重視される指標は、棚卸資産回転期間売上債権回転期間買入債務回転期間です。(※文字クリックで定義を表示)

ここで具体的に、日本電産サーボの資産効率指標を見ていきましょう。

本電産サーボ2004-2008資産効率

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棚卸資産回転期間売上債権回転期間は「短いほうが好ましい」指標ですので、この期間においては改善に向かっています。一方で買入債務回転期間は「長いほうが好ましい」指標です。この数字だけを見れば、ここでは悪化に向かっていると読み取れます。しかし結果として「資産効率は良いのか悪いのか」を断言することはできません。

SPLENDID21でこれらを総合し「資産効率」としてまとめて評価してみますと、チャートは以下のように青色領域に描かれます。これは「良好」と断言できることを意味します。

日本電産サーボ2004-2008資産効率

このように断言できなければ、いかに詳細に分析したとしても、それは判断基準としてはおぼつかないものになってしまいます。当分析により、資産の利用状況は「悪くはない」という判断ができました。(総合力として見ても、当該企業はこの時期にV字回復しています。⇛こちらの記事に掲載しています。)


資産効率を超越する企業の話

ここでもう一例ご紹介します。資産効率は他の指標と違い、唯一「赤色領域が即NGとは言えない」指標です。つまり資産効率が悪いと分析されても、営業効率や流動性・安全性は高く、総合評価が高い企業が分析結果として表れます。具体例としてキーエンスの分析結果全体をご覧ください。

キーエンス2013〜2017年総合評価

(クリックで拡大)

シート中央にて、圧倒的に良好な総合評価の結果が見てとれます。一方、主要指標で唯一赤色領域にあるのが、右下に位置する資産効率です。これはどういうことを意味するのでしょうか?キーエンスの資産効率関連指標を見てみましょう。ここでは 総資本回転期間も含めています。

精密機械器具製造業という業種区分を考慮するにせよしないにせよ、総資本回転期間が30ヶ月以上というのは、一般論としての資産効率水準からかけ離れています。しかしもちろん、それが問題であるはずはありません。他の指標を見れば、自己資本比率は90%超。営業利益率は50%超という高水準です。その背景を論理的に読み解けば、

  • 高キャッシュフロー
  • ⇓高い流動性
  • ⇓積極投資が可能
  • ⇓高付加価値商品の開発
  • ⇓高い営業効率・資本効率を実現
  • ⇓高キャッシュフロー
  • ⇓・・・

という好循環を起こしている状態なのです。


以上、資産効率について具体的な例を見てきました。キーエンスのような圧倒的な状態であれば問題ありませんが、中小企業で考えるべきは、冒頭に述べたように「資産は効率よく使われているのか」という判断です。

事例企業には当てはまりませんが、過剰に抱え込む棚卸資産を借入金で賄っている場合など、資産効率の影響から生まれる金利負担が、営業効率を直接圧迫することもあります。

営業効率を上げるために、営業効率を上げようとしていても、単なる号令にしかなりません。全体を見ることで、離れたところにある因果の関係を明らかにする。それが実現性の高い改善計画策定への近道です。

 

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